でもナギくんは私のことが大切だから…って大切って何?す、好きってこと?いやいや!ナギくんが私の事好きなわけないよね。じゃあ大切ってどういうこと……?
異性からそんなことを言われるのは初めてで、酷く動揺してしまう。
「初めて、僕の話を聞いて欲しいと思った。そんな人今までいなかったんだ。君は僕の恩人なんだよ。」
「お、恩人……」
恩人。確かにそうだ。大切な人という言葉は恋愛的な意味だけではない。何を勘違いしてたんだろう…今度は別の意味で恥ずかしくなり、再び顔が赤くなる。
「もういいだろ、早く行くぞ。」
長い立ち話に痺れを切らしたのか、ハルマが舌打ちをしながら口を挟む。
やはり機嫌が悪くなっているようで、ナギくんのことを睨んでいる。ナギくんは再び困ったように笑っているが、ハルマのことを邪険に扱うことはしない。
