そう自嘲気味に笑う。人懐こい笑顔の裏には彼の不安と苦悩が隠されているのだろう。


「…弱くてもいいんだよ。誰だって最初から強いわけじゃないんだから。ナギくんがサッカーを大好きなのはすごく伝わる。
すぐにまたみんなとサッカーを楽しめると思うな。」

「…そうだね。とりあえず今日は今日やれることをがんばるよ。」

「うん!じゃあまた……」

「僕、リレーに出るんだ。」


クラス対抗リレーにナギくんも出るようだ。
クラスが別なため表立って応援することは出来ないが、心の中で応援しておこう。


「最後に走ることになったんだ。それで、もし僕が1位でゴールしたら…」

「?」

「1つだけ、僕のお願い聞いて欲しい。」

「うん。いいよ!」


私が勢いよく返事をするとナギくんは少し複雑な顔をした。
お願いってなんだろう?シフトを変わって欲しいとか、ご飯奢るとかかな?わざわざ私に頼むくらいだからバイト関係な気がする。


ナギくんは次の試合、私はバスケの決勝の試合を見に行くため体育館の前で分かれた。