借り物競走に出場する他の選手に友人はおらず、今回は私の役目はないなと気を抜いて校庭を眺めた。





1回目のリレーが終わり、次は多くの人が待ち望んでいたであろうナギくんの番だ。
彼は友人たちにからかわれながらレーンに並ぶ。ぼーっと並んでいる人たちを見ていると、一瞬ナギくんと目が合った気がした。すぐに彼は前を向き、軽い準備運動をしている。
流石にこんなに人がいる中で私と目が合うことなんてないだろう。自意識過剰で少し恥ずかしい……


全ての選手の準備が整い、ホイッスルが鳴った。
選手たちは一斉に走り出し、並べられた紙を雑に拾っていく。さすが元サッカー選手であろうか、ナギくんは1番に紙を手に取った。
数秒紙を眺めた後、ナギくんはこちらに向かって走ってくる。