斑くんの激重愛に抗うためには


 ……違う、そんなの、違う。

 認めたら戻れない気がして、思考を止める。



「っあ……」



 ゾクッ……と体が震えた。

 また流される。また気持ちよくなる。それだけは──ダメ。



「んゃ……っ、やめ、てっ……!」



 ドンッ……!
 

 気付けば突き飛ばしていた。

 斑くんを退けられたのは、手錠がまだだったからだ。


 肩で息をする私を、虚ろに見つめる斑くん。

 あ、この目は……。



「は、話、聞いてほしい……。まず、一色には何もされてなくて、助けを呼ばなかったのは私の意思……」

「どうでもいい、そんなこと」



 一色との会話がフラッシュバックする。



『っ、斑くんが喧嘩した後、どんな顔してるか知ってますか?』


『暇潰し! 空の雲を眺めるのと同じっ!』


『つまんね』



 まさか、そんな。

 自分で言ったことが返ってくるなんて──。