斑くんの激重愛に抗うためには

.
.


 うん、終わった。

 家までの道中何度も説明を試みたけど、聞く耳を持ってくれなかった。



「さっさと口開けて」

「っまだ、ら……んんっ」



 口内に滑り込む舌が、発言権を奪う。

 そのくせ、口づけはいつものように優しくて。私は餌に飢えた犬のように、あっけなく体を預けてしまった。

 飼い犬は、ご主人様に逆らえないのを思い知らせているかのよう。


 怒鳴られるよりずっと怖い。

 私の体はとっくに、抵抗しないことを刷り込まれていたんだ。


 柔らかなベッド。

 白いシーツを斑くんの影が濁らせる。



「襲おうと思えばいつでも襲える──だったか?」



 胸元のリボンはいつの間にか床に落ちていた。シャツのボタンも、片手で器用に外されていく。

 斑くんは笑っていた。



「試してみるのも、ありなのかもな」



 だけど、滲んでいたのは怒り。

 ……それから、失望。