私達を見下ろす冷たい瞳が、すぐそこに。
「小鳩」
「斑くん、ストップ。違う。誤解。待って。一色は何も……」
頭に浮かんだ言葉を一通り言ってみたけど……。
「いくぞ」
「……、は、はい……」
萎縮は罪を認めたも同然だ。なのに、喉から絞り出した音はしぼんでいた。
大きな手のひらが、私の腕を容赦なく締め付ける。
一色には一瞥もすることなく、私をその場から離そうと斑くんは歩き出した。
「ねーえ、おれ、まだまだ執念深いからね~!」
一色が声をかけても、無反応。まるで届いていない。
それでも一色は、くすくすと笑いながら──まるで何かを企んでいるかのように、踵を返した。



