「執念~? おれにもあるだろ」
「方向性がちがうんですっ。そもそも斑くんは、好きで喧嘩してないですから! 暇潰し! 空の雲を眺めるのと同じっ!」
私が空を見上げると、一色もそれに続いた。
ゆったりと少しずつ、風に乗って雲が動いている。意識していないと気付けない速度で。
「つまんね」
おそらく、理解してくれたってことでいいのかな。深く頷いてあげた。
一色は考え込むようにして、視線を下に落とす。
「マダラの強さの秘訣はスオウちゃん。守りたい相手、生き甲斐、執着、ぜ~んぶスオウちゃん」
ブツブツと独り言を始める。
言い終わり、パッと上げた顔に、あの気味の悪い笑みが貼り付いていた。
「決めた。スオウちゃん、おれの彼女続投~!」
「なりません!」
ていうかなった覚えもないんだって!



