「借りてきまーす」
「へぁっ……!?」
背中が浮く。地に足がつかない。
うそ、肩に担がれた……!?
「いってらっしゃーい」
教室は恐怖に支配されているのに。
一色が廊下に飛び出していくのを、進藤くんだけが見送るように手を振っていた。
や、やられた……っ!
一色はいつもこちらの予想を上回る。
思わず叫びそうになって、飲み込んだ。
斑くんに聞こえてしまうかもしれない。また彼の助けを待つだけなんてごめんだ。
堂々とさらうなんて良い度胸。もう斑くんを呼び寄せるための人質にはならないんだから……!
「斑くんは来させませんよ」
「あ? あぁ、了解? おれはスオウちゃんに用事があるって言ったけどね」
「……え?」



