口の端を上げて、斑くんがじわじわと距離を詰めてくる。
「どこ見て、何を思って、心配したわけ?」
「そ、それは……っ」
「逃げんな。言ってみ?」
肩を掴まれて、至近距離で見下ろされる。
心臓の音が斑くんにも聞こえてそうで、恥ずかしい。
「き、筋肉、とか……。前よりさらにガッシリしたかもなあ、って……」
「なるほど? 小鳩は俺の筋肉がかっこいいんだ?」
「~~っ」
斑くんの声はニヤついている。
赤い顔を隠すために下を向いてるから、視線を合わせられない。
「まあ、毎日見てるもんな? まさかささいな変化に気付くくらい凝視されてたとは知らなかったけど」
「もっ……もう! いいじゃん!」
今はそれどころじゃないのに!
こうやってすぐに斑くんのペースにされるのも、どうにかしなくちゃ……!



