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 安全の確保は失敗した。

 けど、同時に重要な情報を手に入れることができた。


 一色はまだ斑くんを狙っている。

 たぶん今は準備期間でしかないのだ。


 前回はできなかったから、今度こそ斑くんを守りたいよ。


 帰り道。

 並んで歩きながら、私は無意識に後ろを振り返ってしまう。

 一色がつけてきてるわけじゃないとは思う。でも、視線を感じるような、妙な胸騒ぎがして仕方なかった。



「……小鳩」



 ぴくりと肩が跳ねる。隣にいた斑くんが、じとりとした目でこちらを見ていた。



「さっきから三回くらい後ろ見てんだけど、なに」

「えっ、……そんな見てた、かな?」

「見てた」



 ぎくしゃくと笑って誤魔化すけど、斑くんの目は鋭いまま。

 ──やばい。勘が良すぎる。