「……まだら、くん、」

「ん。風呂行くぞ」


「……今日は、私が背中流すよ」

「小鳩はそういうのしなくていいから。おとなしく綺麗にされとけ」



 お姫様だっこされながら浴室まで移動する。

 ドキドキするシチュエーションだったのは最初の方だけで、慣れてしまえばどうってことない。

 だから、不満丸出しの表情で連れていかれた。


 私が斑くんを幸せにするはずなのに、気付いたら幸せにされてたんだ。

 ちょっとくらい返してみてもいいじゃん。


 二人で湯船に浸かる。

 くるっと後ろを向いて抱きついた。しっとりした素肌が触れ合う。



「誘ってる?」

「襲おうと思えば、いつでも襲えるんじゃないかな」

「してほしいんだったらするけど?」

「……」



 ここで『うん』って言えるほど、まだ純情は腐ってないよ。