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 玄関のドアがゆっくり閉まり、かちゃりとロックされる音だけが響いた。

 靴を脱いで廊下へ一歩踏み出した瞬間、後ろからがっしりと身を抱きしめられる。



「きゃっ、」

「小鳩、今日のペナルティは?」



 低い声が耳元で囁いて、心臓が跳ねた。



「に、二回、くらい……?」



 学校で行ったトイレの回数である。

 どういう自己申告なの、と苦しみながらも正直に答えてしまう。



「ふうん。二回したいんだ」



 髪を避けて首筋へ、吐息が零される。

 満足そうに笑う声が肩の辺りから響いて、肌が熱を持つ。



「したいんじゃなくてっ、ただペナルティの回数ですよっ」

「ですよ?」