「へえ。俺以外のこと、考えてたわけだ」



 細めた目で、じぃ……っと見下ろされる。

 重く、まとわりつくような問い詰める瞳。


 あ、怖いかも。ミカちゃんの気持ち、今ならちょっとだけわかるかも。

 じりじり迫ってくる圧に、苦笑で返す。




「お腹空いてて。今日のご飯何かなーって、考えてました……」



 さすがに進藤くんのことは話せない。嘘で突き通すしかないだろう。

 斑くんの表情は変わらず、発言をどう受け止められたかはわからない。



「……、それなら、早く帰るか」



 信じてもらえたみたいかな、と胸を撫で下ろした瞬間、



「だけどな」



 一言、釘を刺される。



「もし他のやつのこと考えてたんなら、残念だったな」

「ざ、残念……?」

「俺はあんたを逃がしてやらねーから」



 途端に甘い笑みを浮かべる斑くん。まんまとときめいてしまう。