斑くんの激重愛に抗うためには





 今朝は自分で顔を洗ったから家を出る前にキスされた。

 せっかく身構えたのにイジワルモードの方だったみたいで、スズメにつつかれたのかと思うくらい軽かった。

 あえて深いのを教えることで、欲を加速させる魂胆だったんだ。


 一体、どういうつもりなんだろう。

 あんなに私の心が読めてるなら、気持ちまでわかってて遊ばれてる気もしてきた。

 ということを、手を繋いで登校しながら考える。


 教室まではずっとこれみたい。縛られてるのとあんまり変わらない気がする。

 でもまぁ、デートみたいで悪くないかな。



「──あ!」



 突然、後ろから大きな声が突き抜けてきた。

 ビクッと肩を揺らして振り向く。



「手繋いでる」



 そこには、目をぱちくりと丸くする進藤くんが。私達の手を指差しながら、小さく呟いた。