「なあ、顔上げて」
言われた通りにすると、腰を引き寄せられて体がぴったりくっついた。
な、何されるのかな……。
「絶対、これからもあんたは一人で行動することがあるだろ」
「今日みたいな感じが続くなら……ありますね」
トイレとかね。
お風呂は、一回入っちゃったからもういいかなって諦めてる。
「だから、一回につき一ペナルティってことで──」
ぐっと距離が縮まって。
目を伏せた斑くんを、目と鼻の先に捉えた。
ふに……とくっついた柔らかいものが、ゆっくり離れていく。
あっという間の出来事だった。
今、唇に感触が……。
ドキドキする暇もなかった。あっさりしすぎてて。
呆然とする私に、斑くんはしたり顔だ。
「まだしたい?」
あ、これじゃ物足りないの、バレてる。



