「後ろ向いとくのは?」

「もうそれでいいからあ!!」



 しつこいなあ!

 混乱が頂点に達したとき、思い切り斑くんを突き飛ばした。

 間髪入れずにダッシュ。トイレに入って鍵をかける。了承して一瞬油断させたのが功を奏したか。

 ひとまず、ミッションコンプリート──。



「おい」

「うわああああああ! 音聞かないでください音聞かないでっ、音聞くな!」



 騒ぐ私をものともしない、低~い声だった。



「──後で覚えとけよ」



 ひぃっ。


 完全におもちゃにされている。

 斑くんのこと好きだけど、嫌いになった。なのに、まだ好きの方が勝ってるの、異常かな。うん、異常だよ。

 言い訳させて。斑くんがすっごく生き生きしてたの。基本機嫌悪そうなところしか見てないから、違う表情出されると喜んじゃうの。


 ……私、結構重症だな?