一色とあんなに近かったの、全然許せない。怒りの対象は斑くんじゃないけど、せめて上書きしておかなきゃ。

 自分の匂いを移すみたいに体を押し付ける。

 そしたら。



「っ、は……」

「……え、」



 斑くんがぐらりと倒れ込んできた。

 玄関扉に背中を預けて、なんとか重みに耐える。



「まさか、悩殺……とか言ってられそうにないですよね。めまい? 大丈夫ですか?」

「あー……大丈夫。普通に充電切れ……」



 今にもまぶたが閉じそうだ。熱……はないみたい。

 あれだけの人数をやっつけちゃったんだから、当然疲れるよね。

 早くベッドに寝かしつけてあげよう。


 引きずる形になってしまったけど、肩を貸すことで寝室へ運ぶことに成功した。

 ベッドで仰向けに寝た斑くんは、息苦しそうに顔を歪ませている。

 ちょっとでも楽になってもらうには……。