「なっ……!?」



 私と一色のバランスが崩れる。二人で地面に倒れていく。

 驚愕する一色に対して、私は不敵な笑顔を向けてあげた。



「あなたなんかに、斑くんはあげないです……っ!」



 ビタン! 受け身を取ったといえど、地面はコンクリート。

 痛みで動けない間、起き上がろうとする一色を止める方法はない……。

 ──と諦める直前、一色の手を斑くんが踏みつけた。



「おまえのもの? なるわけねぇだろ」



 吐き捨てるように言った瞳に温度はなく、その場にいた誰もが呼吸を忘れる。

 不意に視線がこちらに移った。心臓の拍動が私を包み込む。



「小鳩。三秒目閉じろ」

「……あ、はいっ」



 言われるがままに視界を暗くする。

 ドキドキと心臓がうるさいから、そればっかり気になっちゃって。

 たぶん、三秒なんてとっくに過ぎていたと思う。