今日から私は上司の奴隷になりました

3日間の引継ぎ期間が終わり、今日は4日目。つまり私が本阿弥課長の専属補佐を担当する初日だ。

私は今、総務部とは別に確保した部屋。部署名は無いので、”課長部屋”と勝手に名付けた部屋で、新たに私の上司になった本阿弥課長と二人きりになっている。

「まず初めに、これからの基本ルールを伝えるから、良く聞くように」

本阿弥課長の第一声は、そんな上から目線の言葉だった。課長って、かなり俺様な性格らしい。

「はい、分かりました」

「まずはおまえの制服だが……」

”おまえ”? 最初から”おまえ”って呼ぶの?

「制服でも私服でも、どちらでも構わない」

ふーん、そうなんだ。どっちにしようか、悩むなあ。

「少し考えさせてもらっていいですか?」

「どっちでもいいと言っただろ? 好きなだけ考えろ」

そんな言い方しなくてもいいじゃない! ムカつくなあ、この人。

「わかりました」

「おまえには守秘義務がある。今後見聞きした事は全て極秘だ。特に人物については口外するな。誰々と話したとか、誰々とメールしたとか、誰々を調べたとか、そういう事は一切口外するな。わかったか?」

「はい、わかりました」

「そしてこれが最後のルールだが、補佐というのは表向きで、おまえは俺の……奴隷だ」

奴隷? 何言ってんだろう、この人。

「ふざけないでください」

「いいや、俺は本気で言ってるんだ」

「私は奴隷になんてなりません」

「そうか。だったら、あの事をみんなにばらしてもいいんだな?」

本阿弥課長は、私を脅迫して来た。
でも、私が彼を逆ナンした事を言っているのなら、そんな事は珍しくも何ともない訳で、

「私があなたをナンパした事ですよね? そんなの、ばらされても構いません」

と、私は強気で答えた。

「単なるナンパなら、強気にもなるんだろうが、俺の股間を触っただろ。それでもいいのか?」

「そ、それぐらいは……」

「触るだけじゃなく、握ったよな? 俺のアレを。本当にばらしていいのか?」

「それは……困ります」

負けた……
いくらなんでも、本阿弥課長のアレを私が握ったなんて、会社にバレたら私のキャリアは終わってしまう。

「俺の奴隷になるよな?」

「な、なります」