今日から私は上司の奴隷になりました

「名前が判ったんですね!?」

私は興奮して言ったのだけど、なぜかご主人様は難しそうな顔をしていた。

「ああ。こっちが言った条件に該当するのは、斯波繁男という男しかいないそうだ。だが、神徳は違うはずだと言うんだ」

「それって、どういう意味ですか?」

「俺が神徳から捜査を依頼された時も、開発部チーフマネジャーの榊 清太郎(さかき せいたろう)と、サブマネジャーの斯波繁男は除外していいと言われたんだ。むしろ捜査の協力者になってもらってもいいと。神徳は、その二人を全面的に信頼しているらしい」

「だったら、捜査は振り出しに戻るんですか?」

「いや、俺は誰も信じない。人を信じ過ぎるのは、探偵失格だからな」

「私もそう思います」

「取り敢えず、ホテルに戻って作戦を立てよう?」

「はい」

なんか、武者震いしてきちゃった。探偵って、面白い職業かもしれない。