今日から私は上司の奴隷になりました

「ご主人様、私はこれからどうしたらいいですか？」

「加藤ミユキという女性と接触して、彼氏なる人物の情報を聞き出してくれ。ただし相手に警戒されたらマズいから、決して無理はせず、さり気なくな？ 彼氏の名前が判ればベストだが、ヒントでもいい」

「ヒントって？」

「例えば、眼鏡を掛けてるかとか、髭を生やしてるかとか、痩せてるとか太ってるとか、そういった彼氏の特徴とかだ。あるいはクセとか、要するに彼氏を特定するのに役立ちそうな材料さ」

「なるほど、わかりました。明日やってみます」

私は決意も固くそう言ったのだけど、ご主人様は「明日は出来るんだろうか……」と、小声で呟いた。

「何言ってるんですか。出来ますよ。私を信じてください」

「いや、そっちじゃなくて、あっちの話だ」

ご主人様はそう言って、探るような目で私を見た。”あっちの話”って何だろう……。あ、わかった！

「あと２日は我慢してください。キスとか、あれで」

「承知しました」

もう……どっちがご主人様なのか、判らなくなってきたわ。