今日から私は上司の奴隷になりました

翌朝、私は出掛ける支度をして待つと、待ちわびた”コナン”からのメッセージが来た!

『今着いた』

の一言だけど。
私はキッチンの母に向かい、「行ってきまーす」と言い、スーツケースを持ち上げながら玄関を出た。

ご主人様はどんな高級車で来たのかな、と思ったら、地味なグレーの国産のセダンで、その前に立つご主人様も、これまた地味な服装だった。

そんな私のがっかり感が顔に出ていたのだろうか、「おはようございます」と私が言ったら、「地味で悪かったな」と返されてしまった。

「いえ、そんな事、思っていません」

「嘘を吐くな。顔に出てたぞ」

やっぱり?

「これは目的のために仕方なくしてるんだ。普段の俺は地味じゃないし、車はBMW 318iだ」

「でしょうね」
「おまえ、なんで地味な服装じゃないんだ? 昨日言ったよな?」

「言われてないし、地味な余所行きの服なんて、持ってませんので」

「でしょうね」
「それはどういう意味ですか?」

「おまえの真似しただけだ。そのままでいいから、早く乗れ」

ったく、俺様なんだから……

私のスーツケースは、ご主人様が車の後部座席に放り込み、私が助手席に乗り込むと車は走り出した。

今日の天気予報は晴れだし、家を出るまではドライブ気分でルンルンだったのに、今はさしずめ、ルート営業に向かう上司と部下みたいな気分だ。

仕事なんだから、それでいいんだけれども。