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「なんだよあれ。なんだよ!」
警察官がいなくなったあと、達也が何度も土を蹴って唾を吐き捨てた。
雄一はまだうずくまって動かない。
「忘れろ? はぁ? あいつなに言ってんだ? ついさっきまで一緒にいた夏美ちゃんのことを忘れるわけがねぇだろ!」

「……さっきの警察、地元ののヤツだったよな」
雄一が顔を上げる。
「あぁ。そうだな。人が誘拐されたって連絡したのにひとりで来やがった」
「おかしい。なにか隠してる」

フラリと立ち上がり、鳥居へ向けて歩き出す。
鳥居に手をつけてジッと森の奥を見つめた。
「俺はこの町に泊まる。夏美を見つけ出さないと帰れない」

「それなら俺も一緒だ。この町もなんかおかしいしな」
達也が大股にカメラに近づいてきて、乱暴に電源を落とした。