とある村の怖い話

☆☆☆

それから日が暮れるにつれて夏美の調子は良くなっていった。
街から人が少なくなり、見知った場所から遠ざかるたびに顔色が良くなっていく。
「少し休憩しようか」

1時間半ほど車を走らせたところで車は高速のサービスエリアへと入っていった。
時間は遅くてもまだ賑わいのあるサービスエリアを見て夏美が戸惑っている。
「夏美はここで待ってるか?」

雄一の質問に夏美はモジモジと体を動かした。
「トイレに行きたいから……」
小さな声でそう言って自分でドアを開ける。

そろそろと注意深く外へ出ると、まるで初めて見る景色のように大きく目を見開いた。
「時間もないし、早く行こう」
雄一が夏美の手を握りしめて歩き出す。

達也はカメラを構えてその後を追いかけた。
「すごい、沢山の人だね」
「あぁ。だけどこの中に夏美を知っている人はいないよ。誰も夏美のことを気にしてもいない」