カメラに向けて必死に訴えかけてくるトミーは真剣そのものだ。
《それなら自分で警察に連絡しろよ!》
もっともなコメントが書き込まれて、トミーがたじろぐのがわかった。
『警察への連絡はもちろんしました。だけどここがどこがわからないから、居場所を伝えられないんです』
美加がコクコクと何度も頷いている。
嘘か、本当か、画面越しではわからない。
『私だって帰りたいよ。でも帰れない……』
美加が肩を震わせて両手で顔を覆った。
その指の隙間から涙がこぼれ落ちてくる。
《トミーが女の子泣かせたぞ!》
《トミーは関係ないでしょ。心無いコメントのせいじゃん!》
《あ~あ、女の子の涙で登録者数うなぎのぼりだな!》
「これ、どう思う?」
達也が雄一と夏美へ向けて質問した。
夏美は険しい表情で左右に首をふる。
「わからないな。本当なのか嘘なのか。朝の行方不明者のニュースってのを確認してみようか」



