「いまよい村から出てこられた人っているのか? いるよな? なぁ!?」 「そりゃあおるじゃろうなぁ。手と足だけになってなぁ」 おじいさんが口を大きく開けて笑う。 カラカラと狂ったように笑い続ける。 達也はその狂気じみた笑顔におののき、数歩後ずさりをした。 するとおじいさんが急に笑みを消すと「生きて戻ってきた人間はひとりもおらん。じゃからいまよい村については噂しかないんじゃ」と、答えたのだった。