とある村の怖い話

『俺が……?』
「後ろを見てみろよ、道がある!」
達也の指摘に雄一がゆっくりと背後を振り向いた。

その瞬間画面が大きくブレた。
『いまよい村に続く道か?』
「たぶん、そうだと思う。でも行くなよ。絶対に危ないから!」

達也の声も聞かず雄一の笑顔が映し出された。
『やった! 俺もこっち側に来ることができたんだ! 一瞬でも死について本気で考えたのが良かったのかも知れない!』

「おい雄一、戻ってこいって! 村に言ったらダメだ。お前までいなくなっちまったら俺どうすればいいか……」

『大丈夫。夏美を連れて戻るから。だから心配しないでくれ』
雄一の足が小道へと向かう。

その道はまるで来るものを飲み込んでしまいそうな深さがあった。
ザクザクと草を踏みしめて歩く足音だけが聞こえてくる。