真っ暗な中パッと光が差し込んでそれがカメラ映像であるとわかった。
カメラを持っている男が自分の顔を映し出す。
20代前半の痩せ型、黒髪短髪で健康に日焼けをしている。

「えーっと。俺の名前は田村達也でっす。大学の大学製作として引きこもりをしている子のドキュメンタリーを撮っています。あ、もちろん許可取ってます」

達也がカメラの向きを変えると一軒家が映し出された。
木でできた表札には三浦と書かれている。

その横にある門扉を開いて中へ入ると、砂利が玄関まで敷き詰められていて、通路のように左右に茶色いプランターが置かれている。
プランターのすべてに背の低いひまわりが綺麗に咲いている。

「よっし。じゃ、チャイム鳴らしますかぁ」
達也の右手がカメラに入り込んできたとき、内側から玄関が開いた。
「うわっと……びっくりした」

達也が後ろにとびのいで画面が左右に乱れる。
ようやく落ち着いたとき、玄関先に立っている男の姿が写った。
その男も20代前半くらいで、達也よりも色白で中性的な顔立ちをしている。