「うにゃ~んっ!
 は……肺が、痛~~い!」

 く、空気ぷりーずっ!

 走って、走って。

 スペシャルツリーの前でやっと止まって、一息つくと。

 冷たい空気が、無理やり胸の中に入ろうともがいて、胸が痛かった。

 こ、こんな全力疾走。

 体育の時間でだってやったことな~~い!

「ご……ごめん!
 本当……は……走らせちゃった……ね」

 太っている上に。

 咽を痛めた直人は、もっと苦しそうだ。

 ぜいぜいとあえいで、肩で息してる。

「……大丈夫……?」

 さすがに心配になって聞くと、直人は、笑った。

 顔をあげて、にっこりと。

「平気……だよ」