海岸の方から、こちらへ。
だんだんと近づいてくる歌声に。
先輩が舌打ちをして、独り言みたいにつぶやいた言葉を。
わたしは聞き逃さなかった。
「……ん、のデブ。
いいところで邪魔しに来やがって……!」
「デブ!?
……もしかして!
……この歌、直人なの!?」
先輩は『しまった』とでも言うように息をのんだけれど、遅いもんねっ!
信じられないけど……!
これ。
本当に。
「……直人……なの?」
「……そうだよ」
わたしの疑問に答えてくれたのは。
ここより更に暗い。
海岸の方からやって来た……
……歌声の主、だった。



