もう、逃げられない。
……だけど、せめて。
する前に、歌を聞かせてくれたら良かったのに。
短くてもいいから……
……サビだけでもいいから
わたしの好きなZのナンバーを。
そしたら、わたしのはじめて、をあげる相手が。
どんなに暗くても。
どんなに怖くても。
大好きなレオンだってわかって……安心、するのに。
わたしの涙が、一滴。
月光に滲んで消えても。
自分のズボンを下ろすのに忙しい先輩は。
……きっと、気がつかない。
「……ねぇ、歌……とか、歌ってしない?」
「お前、莫迦?
どこの世界に歌を歌いながら、セックスをするヤツなんかいるんだよ……!」



