それからしばらく電車に乗り、目的地に着いた。


「雪、大丈夫か?」

「はい、慣れてますから」


この満員電車には慣れてる。

でも、普段乗らない先輩はきっと疲れてるよね。

それなのに、私の心配をしてくれる。


「じゃあ、行くか」

そう言って、未だに繋がれた手。


「あのー…」

「なに?」

「いや…手、いつまで…」


誰かと手を繋いだのなんて、いつぶりだろう。

男の人と手を繋ぐなんて、小さい頃お父さんとしかしたことないのに。


「嫌?」


嫌?って聞かれても…

なんて答えたらいいんだろ?


「アハハ、わりぃわりぃ。ほら、行くぞ」


先輩は、手を離して歩き出した。

私は先輩の後ろをトボトボと歩く。


なんか不思議すぎる。

樹先輩と一緒に学校行くことも、前を歩いてることも。