樹先輩は、どうしてこんなに気にかけてくれるんだろ。


「毎日、俺がここで待ってる」

「え?」


毎日ここで待ってる…?

なんで?


「雪は危なっかしいからな」

と、笑いながら私の頭を撫でる。


さっきから先輩、スキンシップが激しい。

私の心臓が、いくつあってももたない。

さっきからずっと、ドキドキしてる。


「毎日、同じ時間にこの場所で待ってるから。ちゃんとここに来ること。いい?」

「でも…普段乗らないんですよね?電車」

「あー…まぁ、乗ってなかったけど」

「わざわざなんて、申し訳ないです」


どうしてそこまでしてくれるの…?

初対面の私に、どうしてこんなに親切にしてくれるんだろう。


「気にするなって。あ、動き出したな」

「そうですね。間に合いそう」

「よかったな」


無邪気に笑う先輩を見て、私は胸がザワついた。