7Days~7日間であなたを落とす方法


 自分の名前が呼ばれ、ハッっとした。慌てて顔を上げれば、そこには眉を寄せた木下次長が立っていた。

「すみません」

「いや、謝る必要はない……」

 気まずさから、沈黙が広がる。

 気まずい、どうしよう、何かしゃべらないと……。

 何かをしゃべらなければと思えば思うほど、脳内はパニックを起こし、よけいに言葉が見つからない。体を強張らせながら、木下次長を見つめていると、木下次長がゆっくりと口を開いた。

「もう皆帰ってしまったぞ。この間も集中しすぎて終業時刻を過ぎていたな。仕事はまだ終わらないのか?」

「あっ、いえ……もう終わりました」

「それなら帰りなさい」

 私はその言葉に従い、パソコンの電源を切ると、カバンを持って立ち上がった。そのまま木下次長の顔を見ないようにしながら、挨拶をした。

「お疲れさまでした。お先に失礼します」

 木下次長に声をかけられただけで、泣きそうになる。早くこの場から去らないと。唇をかみしめ、頭を軽く下げながら木下次長の前を横切ろうとしたときだった。おもむろに手を取られ、進行方向とは逆の方へと引っ張られた。

「きゃ!」

 小さな悲鳴を上げた瞬間、私の体は温かいものに守られるように包まれていた。

「え?え?……」

 何が起こったのかわからず、混乱していると、頭上から優しい声が落ちてきた。

「そんな顔をしないでくれ」