今日も皆川はパソコンをたたき続けていた。物凄い集中力で仕事をこなしていく皆川に、皆は何も言えない様子だった。俺も声をかけられずに、2週間が過ぎていた。しかし、このままでは皆川が潰れてしまうのではないかと思った。休憩も取らずに仕事をし続ける皆川が心配だった。
きっと皆川は俺に話しかけてほしくはないだろう。顔を見るのも嫌だと思う。それでも俺は皆川の上司だから、部下の体調に気を遣うくらいは良いだろうか。
就業時間になり、仕事が終わった者からオフィスを出ていくのを見ながら、俺は皆川の様子を窺った。皆川は今だに集中力が途切れることなく仕事を続けていた。そんな皆川に俺は声をかけた。
「皆川」
「…………」
しかし返事がない。
俺と話したくなくて無視をしているのかとも思ったが、そうではないようだ。物凄い集中力で、俺の声が聞こえていない様子だった。そんな皆川に俺は何度か声をかけた。
「皆川、皆川……琴葉!」
あまりにも俺の声が届かないため、琴葉と思わず名前を呼んでしまった。そのおかげで、皆川のパソコンをたたく手がピタリと止まった。そして俺の方へと視線が向く。久しぶりに皆川の顔を真正面から見た。
その顔は笑っているだろうか?それとも悲しそうな顔だろうか?
しかしどちらとも違った。


