「ふふふ……」
私は昔を懐かしむように空を見上げながら、口角を上げた。悲しくて涙が出るのに、笑ってしまう。矛盾した感情に自分の気持ちが追い付かない。
こんなに好きで、好きで、大好きで、昔のことを思い出して笑みがこぼれるに、諦めなくてはいけない。
七日間で振り向いてもらえなければ諦めると決めたのは自分なのに……。バカなことを言ったと思ってしまう。
感情が溢れるほど大好きなのに、私の想いは届かない。
片思いを続けることが辛かった。
だから私は……。
私は諦めるきっかけが欲しかったのかもしれない。
届かない想いを抱き続けるのは楽しい反面、決死の告白を断られ続けるのは精神的にもきつい。だから私は逃げたんだ。自分の想いから逃げた。
私は公園のベンチに一人座り、大きな丸い月を仰ぎ見ながら涙を流した。
今日はまだ7日目だから。今日だけは颯斗さんと声に出して呼びたい。
「颯斗さん……颯斗さん……っ……」
嗚咽交じりに大好きな人の名前を呼んだ。
「颯斗さん……大好き……っ……大好きでした……っ……」
何度も何度も木下次長の名前を呼びながら、私は涙を流し続けた。
明日からは声に出して呼べないその名を……。
そんな私の頭上では、先ほどの丸い月が涙でぼやけていびつに揺れていた。


