お店の自動ドアが開き中に入ると、体を圧迫するような音楽が聞こえた。そして私の目に飛び込んできたのは、沢山のクレーンゲームの機械。ここはこの辺でも有名なゲームセンターで、一つのビルの中にボウリングやカラオケ、ビリヤードなどもできるアミューズメントパーク。
「木下次長……いえ、颯斗さん。今日は時間まで遊びますよ!」
私は木下次長の手を引っ張ると、格闘技の対戦ゲーム機の前に連れていく。
「颯斗さん勝負です。負けた方が今日のお昼はおごりです。真剣勝負ですよ」
私はそう言って反対側にある対戦ゲームに座りコインを入れた。
ファイトの合図でゲームが始まると、私はまくしたてるように颯斗さんの選んだキャラに向かって攻撃を繰り出していく。それはクリーンヒットしてパラメーターを減らしていく。しかし、颯斗さんも負けじと技を仕掛けてくるが、私はそれをかわしつつパワーゲージを確認して必殺技を繰り出した。そして、KOの文字が表示される。
「やったー!私の勝ちです。今日のお昼は颯斗さんのおごりです」
椅子から立ち上がってそう言うと、颯斗さんはぽかんとした顔で私を見ていた。
しまった。
はしゃぎすぎてしまった。
そう思ったが、颯斗さんはすぐに立ち上がると悔しそうな顔をしていた。
「俺は格闘ゲームが苦手なんだ。向こうに行くぞ」
そう言った颯斗さんは私の手をつかむと、カートゲーム機まで引っ張っていった。
「皆川勝負だ」
「いいですよ。じゃあ私が勝ったら私のことを琴葉と呼んでくださいね」
「いいぞ」


