その声に促されるような形で、私達は居酒屋から出る準備を始める。そんな中で私の心はザワついていた。次長の言葉が引っかかり、もたもたしながら外に出る準備をしていると、部屋には木下次長と私だけになっていた。どうしても、先ほどの木下次長の言葉が引っかかる。
あいつ……あいつって誰なんだろう……?
胸の奥にモヤモヤとした感情が広がっていくが、私がそんな感情を抱いていることを次長に悟られないよう、木下次長にニコリと微笑んだ。
「木下次長は二次会に参加されるんですか?」
「いや、俺はこれで帰るよ」
「そうですか……」
少しずつ声のトーンを下げていきながら俯く私を見て、木下次長の口角が少しだけ上がった。
「お前は楽しんでこい」
ポンっと頭を軽く叩かれ、顔を上げると微笑む木下次長の顔が近くにあった。
うそ……木下次長が笑っている。
先ほどまでのモヤモヤは何処へ行ったのか、胸の奥から愛おしい、好きと言う感情が溢れ全身が支配される。そして口をついて出るのは、「好きです……。木下次長が好きです」そんな言葉だ。
溢れ出る感情と共に、私はその言葉を口にした。
木下次長を困らせるだけだと分っているのに、我慢することが出来ない。
だって、こんなにも好きなんだもん。
自分の感情にウソなんてつけない。
溢れ出るままに言葉にしたい。
あなたが好きだから。


