奥歯に力を入れてから皆川に視線をやると、皆川の体がグラリと揺れた。俺は皆川の体が地面に叩き付けられる前に抱きとめた。ホッと安堵の溜め息を漏らすと、皆川はフニャリと笑いながら俺の頬に手を添えた。
「木下次長、だーい好き」
ドクンッ。
俺の心臓が大きく音を立てた。
その音は俺の体を大きく揺さぶり、体を熱くさせた。
俺は片手で皆川を抱きしめながら、もう片方の手で自分の口元を覆った。
顔が熱い。
口元を覆ったまま固まっていると、そんな俺を見た皆川は口元にある手を退けると、ゆっくりと俺に顔を近づけた。
「かわいい……」
そう言いながら、皆川の唇が俺の唇に触れる。皆川の唇から「チュッ」というリップ音が聞こえたところで俺は我に返った。
「なっ……皆川!」
皆川の名前を呼んだが、皆川は俺の腕の中ですやすやと寝息を立てていた。
俺はホテルのバスルームで、濡れた服を脱ぎ捨てると熱いシャワーを浴びていた。
ここから出たら、俺はどんな行動を取るのが正解なのだろうか?そればかりを考えている。しかし正解を導かせることが出来ずに時間だけが過ぎていく。いい加減このまま此処にいることも出来ないため、バスルームから出た。バスローブ姿でベッドに近づくと、体を丸めて寝息を立てる皆川の姿があった。
「そうきたか……」
その姿を見て、体から力が抜けた。
しかしそれと同時に、何とも言えない気持ちが湧き上がる。
少し残念だと思っている……?
それに気づいて、俺は片手で顔を覆うと力なくうなだれた。


