すすり泣く皆川は何も言わない俺に向かって、更にしゃくり上げながら声を荒げた。
「一週間付き合ってくれるって言ったろは木下次長らんれすよ。それらろに、彼氏彼女みたいらことは何もしてくれらい。それらのに時々優しくして、笑ってくるし……期待らけさせておいて、美紀子さんの話をして拒絶して、何らんれすか!?」
本当にその通りだと思う。
皆川を受け入れたいと思う反面で、美紀子に悪いと一歩引いて、まるで優柔不断な二股男みたいじゃないか。
最低だな。
「皆川、すまない」
俺は謝ることしか出来なかった。
そんな俺の背中を皆川が拳で叩いてきた。
「本当、最低れすよ。最低なのに、嫌いになれない」
皆川の言葉にふっと笑みがこぼれる。
「嫌いになりなさい」
「無理れーすー!」
俺は背負っていた皆川をゆっくりと下ろし、正面から皆川を見つめた。皆川は大きな瞳でこちらを真っ直ぐに見ている。その瞳からはポロポロと大きな雫が流れ出していた。
瞬きもせずにこちらを見つめる瞳に吸い込まれそうだ。
何処までも真っ直ぐな皆川を羨ましく思う。
俺のような屈折した大人になってほしくない。


