ひとしきり泣いて落ち着いた頃、杏さんが優しく微笑みながら何かを手渡してきた。 「香奈ちゃんに、これを渡しておくわ」 手渡されたのは一枚の名刺。 「あの……先ほど名刺は頂きましたよ」 「始めに渡したのは仕事用の名刺。これはプライベート用よ」 確かに最初にもらった名刺より、可愛らしいプリントの入った名刺だった。 「何かあったらこっちに連絡してちょうだい」 「……ありがとうございます」