私は木下次長の隣に座ると、空になったグラスに視線を落とした。
「木下次長、次は何を飲まれますか?」
「ああ、皆川か……同じ物でたのむ」
「はい!」
私はニッコリと笑って、お店の注文様タブレットをタップしながら他の人達の注文も聞いていく。それを見ていた木下次長が目を細めた。
「お前は良く気が利くな」
「そんな事無いですよ。こういうのは下っ端の仕事ですから」
「そう言うが、出来ない奴も多いんだぞ」
「えへへ、褒められると嬉しいです」
でれっと笑うと、木下次長が眉間の皺を少しだけ緩めて苦笑した。
「そうやって普通に話しかけてくるのはお前と、あいつぐらいだよ」
ボソリと木下次長が呟いた。
あいつ……あいつって?
私が口を開きかけたとき、本日の飲み会の幹事の声が部屋に響き渡った。
「そろそろ時間ですので、お開きにしたいと思います。二次会に行く人は俺に付いてきて下さい!」


