そう言いながら杏さんが話し出した。木下次長が話してくれた事と同じ内容を杏さん目線で話してくれた。それを聞き終えた香奈は絶句していた。私は木下次長が話した内容とほぼ同じ内容だったが、また涙を流していた。
幸せの絶頂で引き離されてしまった二人。
美紀子さんは無念だっただろう。
誰よりも幸せになる予定だったのに……。
美紀子さんの時間はあの日から時を刻むことは無くなった。
同時に木下次長の時間も止まってしまったのだろう。
二人の悲しみ、想い、色々なことを考えると涙が溢れ出してくる。私は杏さんの話を聞きながら嗚咽を漏らしていた。そんな私を見て杏さんが目を細めた。
「あなたはあの子と颯斗のために泣いてくれるのね」
杏さんは私の頭に優しく手を乗せた。
「そろそろ私達も歩き出さないと行けないのかもしれないわね。皆川琴葉さん、あなたは颯斗の事が好きなのね」
そう聞かれ、私は涙を拭いながら返事をした。
「はい!好きです」
「そう。それなら私は応援するわ。それに……たぶん……」
「え?」
「いえ、何でも無いの。今度は、皆川さんと颯斗とのことを聞かせてくれる?」
私はお酒を飲みながら今までの自分の愚行を、杏さんに話した。


