7Days~7日間であなたを落とす方法


 キョトンとしながら香奈の顔を覗き込むと、長く美しい指が私の頬に触れた。

 その時だった。

 カウンターの奥のボックス席から、見知った人が現れた。

「あらー?『クライス』の皆川琴葉さんじゃない?」

「え?あ!『メイジア』の倉野杏さん!」

「ふふふっ、覚えていてもらえて嬉しいわ。こんな所で会うなんて奇遇ね。隣いいかしら?」

「あ……はい、どうぞ」

「ありがとう。それで皆川さんの隣にいるのは?」

「同僚の角田香奈です」

 香奈は私が紹介する前に椅子から立ち上がると、名刺を取り出して杏さんに渡した。杏さんも同じように名刺を取り出して、香奈に手渡した。

「香奈ちゃんね」

 いきなり名前呼びをしてきた杏さんに、香奈が驚きの表情を見せる。

「あの……何ですか?」

「綺麗な子だなと思っただけよ」

 杏さんは香奈を上から下まで見てから、意味深にふふふっと笑った。

「それで?颯斗の話をしていたみたいだけど何かあった?」

「「…………」」

 私と香奈は顔を見合わせて、口をつぐんだ。

「悪いと思ったけど、話が聞こえて来ちゃったのよ。颯斗とあの子の事でしよう?」

 あの子とは美紀子さんの事だろう。

 私はハッとしてから杏さんを見た。それを見ていた香奈が、咄嗟に私と杏さんの間に入った。

「倉野さんは、木下次長に何があったのか知っている人なんですね?この子が悲しい顔をする理由を知っている人なんですよね?」

「そうね。私は当事者だから」

「琴葉は私に何があったのか話してくれません。あなたから聞いても良いですか?」

「……そうね。あれから7年も経つのだから、もう良い頃なのかもね」