鼻を両手で押さえながら悶絶すること数秒……何とか平静を装いながら木下次長の元まで行き、挨拶を交わした。
「お……おはようございます」
「ああ、おはよう。今朝は寒いな」
「そうですか?私は暑いくらいです」
「暑い?皆川、大丈夫か?鼻はどうしたんだ?」
鼻血が出ないよう鼻を押さえていると、木下次長が心配した様子で顔を覗き込んできた。
近い、近い、近い……鼻を押さえている意味がないよ。余計に鼻血が出そうです。
顔を真っ赤にさせていると、おでこに木下次長の手が乗せられた。
「熱でもあるのか?」
「ちっ……違います!ホントに暑いだけです」
「今年一番の寒さだと天気予報で言っていたが?」
「ふぐっ……」
私の口から変な声が漏れ出てしまう。
だって仕方がないよね?
私の大好きな顔がこんなに近くに……。
至福の時……。
このまま死んでも悔いは無い。
なんて思ってしまう。


