必死に自分に言い聞かせ、パソコンに向き合いキーボードを叩き続けるその必死な姿に、周りにいる人達は引いていた。皆が引いている中で、香奈だけが私を心配して声を掛けてくれた。
「琴葉どうしたの?何があったの?」
「…………」
「言いたくないのね?」
「…………」
私はグッと唇に力を入れて、パソコンの画面を凝視したままキーボードを叩く手を止められずにいた。ハッキリ言って、私の行動はいくら友達だとしても、失礼な態度だった。しかし香奈は溜め息を付きながらも、優しく声を掛けてくれた。
「何かあったのね……」
何も言わない私を見捨てること無く、何かを察してくれた香奈。何も言わなくても分ってくれる相手がいるのはありがたい。だって今、声を出してしまったら泣いてしまいそうなのだ。
「分ったわ。キリの良いところまでやったら一緒に帰りましょう」
未だに何も言わない私を見て、香奈が悲しそうな顔をしていた。そのことに私は自分のことにいっぱいいっぱい過ぎて気づかなかった。


