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数日後。
「木下次長、好きです。私とお付き合いして下さい」
私の告白に、木下次長の形の良い眉がピクリと動き、眉間の皺が一層深くなる。
「すまない……何度も言っているが君とは付き合えない」
「ですよねー。あはは……」
私は乾いた笑いを漏らし、自分の席へと戻る。
「うそでしょう。またやってるよ」
「あの木下次長に告白とか命知らず」
「見てよ。あの眉間の皺」
「こっわー」
「次長今日も機嫌悪そうなのに、これ以上雰囲気悪くさせるのやめてほしい」
同僚の耳障りな声がヒソヒソと聞こえてくるが、それを無視しながら琴葉は肩を落とした。
今日も振られてしまった……。
グッと奥歯を噛みしめ、涙を我慢する。
そんな私を見た香奈が、溜め息を付きながら声を掛けてきた。
「いい加減に諦めなさいよ」
分っている。
諦めた方が良いことぐらい分っている。
それでも、私が告白をする時だけは次長が私を……私だけを見てくれる。
それが嬉しくて何度も告白をしてしまう。
今日だって私の告白に、戸惑いながらも優しい口調で私に言葉を掛けてくれた。
『すまない……』と……。


