会議が終わり会議室を出ようとした所で、倉野さんが木下次長に声を掛けてきた。
「颯斗ったら、こんな可愛い子連れて歩けるなんてずるい。私はこんな可愛くない部下なのに」
「ちょっと、それは無いんじゃないですか、先輩!」
今まで大人しくしていた相葉さんが、悲しそうに肩を落とした。
しかし私はそれどころではない。
颯斗って……?
「本当の事じゃ無い。颯斗ばっかりずるい。今日だって自分の車に乗せてきたんでしょ。お気に入りをすぐに車に乗せたがるんだから」
お気に入り?
倉野さんのその言葉に、喜びが溢れ出しそうになったが、モヤモヤも広がる。
その時。
「杏、うるさいぞ」
杏?
名前呼び……。
なぜ……?
二人は軽口を叩きながら仲よさそうにしている。
まるで恋人みたいだ。
「いいから、少し黙ってくれ。杏が話すとややこしくなる」
「相変わらず颯斗は失礼ね。黙れって、ねえ?失礼じゃ無い?これから一緒に仕事するんだから仲良くやりましょうよ」
名前で呼び合う二人を見て、私がフリーズしていると、相葉さんが私の横で耳打ちをしてきた。
「この二人は大学が一緒でサークルとかゼミも一緒だったらしいっすよ」
「そうだったんですね」
「噂だと、二人は付き合っているらしいっす」
え?
付き合っている?


