食事を食べ終わると、木下次長の運転する車に乗りメイジアへと向かった。
ランチデート楽しかったな。幸せ過ぎて顔が緩んでしまう。しかしこれから大事なプレゼンだ。浮ついた気持ちで仕事に臨みたくない。グッと気持ちを静めて、木下次長への思いをやり過ごす。深呼吸をしながら次長の運転する姿を眺めた。
…………。
かっ、格好いい。
浮ついたらダメだと思っているのに、木下次長が格好良すぎてやばい。好きな人が車を運転する姿って本当にやばい。
だって見て。
右手でハンドルを操作しながら、左肘を肘掛けに掛け、顎に手を置いている。その姿はオフィス内とは違い、リラックスしているようで、眉間の皺が薄い。
この姿を見たことあるのって、私だけじゃ無い?
貴重すぎるその姿に、思わず拝んでみる。
すると信号待ちで、私が自分を拝んでいることに気づいた木下次長が、ギョッとした顔をして固まった。
「皆川、何をしている?」
「すみません。尊いという気持ちを表現していました。このようなお姿を拝顔でき、嬉しく思います」
「その言葉の使い方はあっているのか?」
「良いんです。今の私の最上級の愛の言葉です」
「愛って……お前はぶれないな」
「もちろんです。私は木下次長一筋ですから!」
そんな会話をしていると、今日の仕事相手である老舗お菓子メーカー『メイジア』の駐車場に到着した。
「心の準備は出来ているか?」
「はい。大丈夫です」


