嬉しくて琴葉が歓喜の悲鳴を上げていると、そこに社員達が続々とオフィスに入ってきた。私の悲鳴に驚き、木下次長と私がじゃれ合っていることに、更に目を見開いて驚いている様子だった。一体何が起こっているんだと言った表情でこちらを見ている。そんな視線を私達は受けながら、あははっと乾いた笑いをこぼし、木下次長が腕の力を緩めたことで私は床に足を着いた。私達は何も無かったかのように、いそいそと自分のデスクに戻った。
ヤバい……。
皆の視線が痛い……。
自分の椅子で体を小さくしていると、木下次長がわざとらしく咳払いをして、皆に仕事をするように促した。
昼休み――――。
「琴葉、ランチ行くよ」
私を引きずるように外に連れ出したのは同期の香奈だった。
私達は行きつけの洋食店に入って、一息つくまもなく香奈が口を開いた。
「それで?朝のあれはどういうこと?」
「それはですね……その……木下次長と付き合うことになりまして」
「えっ……」
香奈が心底驚いたという顔をして固まっている。まるで香奈の周りだけ時間が止まってしまったかのようだ。しかしすぐに我に返った香奈は、ハッとした顔をしたかと思うと、私をじっと見つめてきた。私を見つめたまま何も言わない香奈に向かって、恐る恐る香奈の名を呼んでみる。


